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株主優待クロス取引に黄信号か!?サイゼリヤが始めた新ルールとは

投稿:2019/04/12 

2019年4月10日にサイゼリヤが株主優待の変更をおこないました。ただし、今回はいつもの優待変更と様子がちがいます…。なぜかというと、株式継続保有の確認方法がいままでにないものとなっていたからです。

優待投資家をざわつかせた今回の優待変更発表。このページでは、その株式継続保有の確認方法の解説と、どうしてそうなったのかという推測をまとめました!

とくに影響が大きい!?投資家に人気のクロス取引

はじめに、今回の発表で特に影響がありそうな「クロス取引(優待のタダ取り)」について触れておきます。クロス取引とは、信用売りと現物買いを同時におこなうことで、株価の値動きによる損得を相殺させ、取引手数料のみ(厳密には金利なども含まれる)で優待の権利を取得する取引方法です。

投資家にとっては低リスクで優待がもらえるので、近年その人気に火がついています。クロス取引については詳しくまとめたページがありますので、ぜひご参考ください。

近年は「株式の継続保有を条件」とする企業が増えてきていた!

さて、このクロス取引、投資家にとってはありがたい制度なのですが、企業側からするとあまりよろしくありません。というのも、定着しない株主のために優待品をあげることになり、利益圧迫の要因になるためです。

そういったことから、近年は株主優待の贈呈基準として「株式の継続保有を設定する企業が増えてきていた」という背景があることを覚えておいてください。ここから本題に入っていきます。

これまでの継続保有の確認方法とは?

継続保有を条件とする企業の多くは、これまで「権利確定日を基準にして継続保有の確認」をおこなってきました。たとえば「継続保有期間が1年以上必要」かつ、「権利確定日が8月末」である企業は、下のような判定方法となります。

  • 2019年8月末(保有の確認)
  • 2020年8月末(保有の確認) ←ここで1年保有したかどうかを判定

2019年、2020年のどちらも「権利付き最終日のみ株を持っている」場合を考えてみます。

この場合、どちらの年度も株を持っている期間は短いですが、権利確定日には株の保有がしっかりとできています。結果として、「優待の権利取得+1年以上の継続保有判定」のどちらもクリアできているので、株主優待をもらうことができます。

※株主名簿の更新頻度によってはできない場合もあります。

言いかえれば、権利確定日にさえ株を持っていれば、その間の期間は株主でなくてもよいということですね。 それでは、今回話題となっているサイゼリヤの継続保有の確認方法は、この方法となにが違うのでしょうか。

確認日は任意の日!いつ確認されるかわからない!

今回発表されたサイゼリヤの継続保有の確認日は、下のようになっています。

  1. 8月末
  2. 2019年4月末~8月末までの任意の日

このうち、①は権利確定日での保有確認を指していますので、これについては今までと変わりありません。 問題は②の「2019年4月末~8月末までの任意の日」という部分です。

これは言いかえると「2019年4月末~8月末までの間でいつ確認されるかわからないので、ずっと株を持っておかなければならない」ともいえます。つまり、権利確定日直前のクロス取引だけでは条件を満たせず、株主優待がもらえないということになるのです。

これは企業側の視点にたつと、クロス取引による利益圧迫を防ぎつつ、本来の継続保有が見込める素晴らしい一手といえます。その一方で、クロス取引をメインにしてきた投資家には痛手となってしまうでしょう。

クロス取引はまだまだ使える!規制がかかる前にはじめておこう

ここまで解説をしてきましたが、この事例はまだサイゼリヤに限ったことです。他の企業については、いままでの継続保有確認方式が主流ですので、まだまだクロス取引自体は有効といえます。

しかしながら、今回のような規制がかかっていくのは時間の問題でしょう。規制が本格的にかかる前に、クロス取引で優待のタダ取りを実践してみてはいかがでしょうか。

今回の発表は個人的にかなり衝撃を受けました。確認日がわからないということは、継続保有をするしかないので、結果的に長期保有につながります。将来的にこの「サイゼリヤ方式」が主流となり、単純なクロス取引はむずかしくなっていくのではと考えています。

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