株主優待をお得にもらおう!クロス取引のやり方・注意点 まとめ
「株主優待を、株価の値下がりリスクなしで手に入れたい…」と思ったことはありませんか?株主優待を手に入れるためには、現物株の保有が必要なので、一見「株価の値下がりリスク」は避けられないように思います。
しかし、実は「クロス取引」という手法をつかうことで、この夢のような話が実現するんです。このページでは、「リスクを極限まで低くして株主優待を手に入れる方法」について解説していきます。
株主優待を低リスクで手に入れる方法「クロス取引」とは
株主優待をもらうには、権利付き最終日までに株を買って、権利落ち日以降に株を売ることが必要ですよね。しかし、多くの優待銘柄は権利落ち日周辺で売ってしまうと損になってしまう可能性が高いといえます。これは、優待銘柄の株価が権利付き最終日までは上がり、権利落ち日以降は下がってしまう傾向があるためです。
「じゃあ、ずっと株を持っておくしかないのでは…」と思われるかもしれませんが、実はこの株価変動リスクを回避する方法があるのです。その方法が「クロス取引」と呼ばれる手法です。
クロス取引をかんたんに説明すると、「信用売り」と「現物買い」を同時に出し、株価変動リスクを抑えつつ優待の権利をもらう、というものです。もう少し詳しく説明していきますね。
まずは、クロス取引に必要な「信用売り」について知っておこう!
まず、クロス取引で必要な「信用売り」という取引について知っておきましょう。信用売りとは「信用取引の売り注文」のことで、いわゆる空売り(からうり)と呼ばれています。
イメージしにくいかもしれませんが、信用売りは手元にはない株を「証券会社から借りて売る」という取引で、株価が下がると儲かるしくみとなっています。
株価1000円の会社「A社」で、信用売りの例を挙げてみます(わかりやすいように話を簡略化します)。
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証券会社から株価1,000円の株を借りて市場で売ると、手元に現金1,000円が残る
- その後、市況の悪化でA社の株価が900円まで下がった
手持ちの1,000円から900円を支払ってA社の株を買い戻し、証券会社に返却する
最終的に100円が残り、これが利益となる(1,000円-900円=100円)
株価が下がっても儲かるしくみについてお分かりいただけたでしょうか。この信用売りと現物買いをおこなってクロス取引を進めていきます。
クロス取引のやり方・方法
さて、現物株を持っていて株価が下がると、損をしますよね。しかし、同時に信用売りの注文を出しておけば「株価が下がると儲かる」ので、現物株の損を相殺できます。クロス取引は、この結果を利用した取引となります。
お気づきの人もいらっしゃるかもしれませんが、クロス取引という名前は「反対の注文を出して相殺させる=現物買いと信用売りをクロスさせる」というところからきています。
つまり、この2つの注文を同時に出しておくことで、権利落ち日で株価がどれだけ下がっても損をすることはないですし、逆に株価が上がっても利益がでることはありません。
具体的なクロス取引のやり方は次のとおりです。
- 優待が欲しい銘柄を選ぶ
- その銘柄の「現物買い」と「信用売り」の注文を同時に出す
- 権利付き最終日を迎える = 優待の権利を得る
- 権利落ち日以降に決済する
- 優待をもらう
上記の流れを踏むことで、「売買手数料」、「金利」などの少ない費用だけで優待を手に入れることができるのです。
クロス取引のポイント
現物買いや信用売りの注文を入れるのは、市場が閉まっている時間帯にするのがポイントです。
平日であれば、市場が閉まっている「15:00以降~翌日9:00」までだったり、休憩時間の「11:30~12:30」までに注文を出しましょう。
ザラ場中に注文を出すとタイミングがずれてしまい、同じ株価で約定できなくなってしまいます(つまり株価の変動リスクが出てしまいます)。
クロス取引をする上での注意点!
注意点1:配当金はもらえません!
クロス取引は、権利付き最終日まで株をもっているので「優待の権利」+「配当金」がもらえると思いがちですが、実際はそうではありません。
実は、権利確定日を超えて売建玉(信用取引で空売りした株)を持っていた場合、信用取引の買い手に配当相当額を支払わなければいけません。この支払うお金のことを「配当調整金」といいます。
配当調整金の権利は、通常の配当と同じタイミングで確定します。つまり、クロス取引では株主優待の権利は手に入りますが、配当金はもらえないということになるのでご注意ください。
注意点2:優待以上の損もある?逆日歩(ぎゃくひぶ)に注意
信用売りで注意するものの一つに「逆日歩」というものがあります。逆日歩とは、信用売りが多すぎて証券会社の株が不足した時に、違うところから株を調達してくるときにかかる費用のことです。
人気のある優待だと、株が不足して逆日歩を支払うケースが多く、優待価値を大きく上回ってしまうことさえあります(つまり支払いの方が多くなってマイナスになってしまう)。
逆日歩は銘柄ごとに異なりますが、たとえば一株当たりの逆日歩が10円で、優待を得るのに必要な売買単位が1000株だとしたら、10円×1000株=1万円を負担することになってしまいます。せっかく優待をもらっても、損をしてしまってはあまり意味がありませんよね。
しかし、逆日歩を発生させない方法もあるのです。それが一般信用取引を利用したクロス取引です。信用取引には大きく2つに分けて「制度信用取引」と「一般信用取引」があるのですが、このうち一般信用取引を利用して信用売りをすれば逆日歩はつきません。
証券会社に対する貸株料(株を借りたときに発生するレンタル料金)は、一般信用取引のほうが少し高めになりますが、逆日歩によるリスクに比べたら微々たるものです。ただし、すべての証券会社で利用できるわけではありません。次のページではクロス取引に向く証券会社を紹介していきます。
一方、証券会社がすでに決まっている人は、さっそくクロス取引を進めてみましょう!実際のクロス取引の流れを、画像を交えて紹介していますので、下記のページもぜひご参考ください。
さて、ここまででクロス取引の基礎についてお分かり頂けたかと思います。クロス取引は、「低リスク」かつ「少ない費用で株主優待がもらえる」ので、個人投資家には特に人気のある取引方法です。
しかし、注意点でもお伝えした通り、「一般信用取引」ではなく「制度信用取引」でクロス取引をおこなってしまうと「逆日歩」という思わぬ代金を支払ってしまうこともあります。
当サイトでは、逆日歩が発生しない一般信用取引を利用したクロス取引を推奨していますので、一般信用売りのできるオススメの証券会社を一緒に確認してみましょう!