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大企業が上場廃止する理由を教えてください。なにかメリットがあるのでしょうか?

東芝やベネッセといった大企業が上場廃止する理由を教えてください。上場廃止することで、なにかメリットがあるのでしょうか?

企業が上場廃止する理由には、大きく分けて「経営破綻によるもの」と「経営戦略によるもの」の2種類があります。

経営破綻による場合は、業績の悪化や多額の借金などで倒産の危機に直面している企業が、上場維持基準を満たせずに廃止せざるを得ないケースです。

一方の経営戦略による場合は、上場を維持するよりも、上場廃止のほうがメリットが大きいと判断して自主的に上場廃止をおこなうケースです。

どちらの理由によるかは、ネットなどで調べれば意外とすぐに分かるかと思います。

スミレ

上場廃止による主なメリットには、一般的に以下のようなものがあります。

上場廃止による主なメリット

  1. 経営の自由度が高まる
  2. 敵対的買収を回避できる
  3. 上場維持コストを削減できる

それぞれのメリットについて見ていきましょう。

メリット1:経営の自由度が高まる

メリットの1つ目は、経営の自由度が高まることです。上場企業は、株主の利益を最大化するような経営が求められます。

そのため、経営者は株価を上げるために「短期的な利益の追求」や「株主の反感を買うような経営判断の回避」をおこなうことがあります。

スミレ

つまり、上場していると常に株主の目を気にした経営をしなければいけません。しかし、上場廃止すれば株主を気にする必要がなくなるので、中長期的な視点で自由度の高い経営をおこなえるようになります。

メリット2:敵対的買収を回避できる

メリットの2つ目は、上場廃止によって株式を非公開化することで、敵対的買収のリスクを減らせることです。これにより、経営陣は企業の経営権を守りながら経営することができます。

敵対的買収とは?

ほかの企業の買収をおこなう場合、通常は買収対象企業の合意を得てから公開株式を取得しますが、敵対的買収はこの合意なしに取得します。2023年からは「同意なき買収」とも呼ばれています。

合意もなにもないということは、上場している限り敵対的買収の可能性はいつでもあるということです。

メリット3:上場維持コストを削減できる

メリットの3つ目は、上場維持コストを削減できることです。

上場していると、企業は上場維持費・監査費用・IR費用などを支払わなければなりませんが、上場廃止をするとこれらの費用を支払わなくてもよくなります。

株主優待も基本的に廃止される

優待制度を実施していた企業が上場廃止になると、株主優待制度も一般的に廃止が選択されるので、その分のコストもかからないようになります。

※ただし、スーパーマーケットの「ドミー」など、上場廃止となっても優待を続けるケースも稀にあります。

経営戦略として上場廃止をした「東芝」や「ベネッセ」

上場廃止する企業の大半は、経営戦略上の理由によるものです。最近では「東芝」や「ベネッセ」といった大企業も、経営戦略上の理由で上場廃止を決めています。

東芝は、過去に債務超過となったときに、多額の増資をおこないました。その結果、短期的な利益の還元を求める「モノ言う株主」が現れ、経営陣と対立することになりました。

こうした流れから、東芝は「このままでは経営再建が困難である」と判断し、上場廃止を選びました。

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また一方のベネッセは、少子化などの影響で業績が低迷した末に「事業を現在の延長でおこなうのではなく変革が必要である」と考えました。

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このような流れから「この変革は短期的な業績を求める株式市場ではむずかしい」と考え、ベネッセも同じく上場廃止を選んでいます。

上場を廃止すると、上場時に得られていた「幅広い資金調達の手段」や「企業のブランド価値の向上」といった恩恵はなくなります。

それでも、今後経営していく上で、上場を維持するメリットよりも上場廃止したメリットのほうが大きいと判断したため、上場廃止を選んだというわけです。

お悩み相談室 室長のプロフィール

スミレ(投資ブロガー)

20代の主婦投資家です。株式投資歴は8年を超えました!「株式投資の育て方」という投資ブログで、株式投資の考え方や注意点などを、初心者の人にもわかりやすく解説しています。

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